乾癬(かんせん)とは
乾癬とは、皮膚に赤い盛り上がった発疹ができ、その上に銀白色のフケのようなかさぶたが付着してはがれ落ちる慢性の皮膚病です。特徴的な症状で比較的簡単に診断がつくことも多いですが、必要な場合は患部を一部採取して顕微鏡で観察することがあります。感染症ではないため人にうつることはありません。ひじやひざなど刺激を受けやすい部位に現れやすく、症状の改善と悪化を繰り返します。
乾癬は症状ごとに
5つのタイプに分けられる
- 尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)
- 乾癬性関節炎(かんせんせいかんせつえん)
- 滴状乾癬(てきじょうかんせん)
- 乾癬性紅皮症(かんせんせいこうひしょう)
- 膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)
尋常性乾癬
(じんじょうせいかんせん)
紅斑、浸潤、肥厚、鱗屑、落屑などの特徴的な症状が生じ、70~80%の乾癬が該当します。皮膚が赤くなり(紅斑)、厚くなって盛上がり(浸潤、肥厚)、鱗上になって(鱗屑)といった経過をたどります。皮膚以外には爪にも発症することがあり、爪がでこぼこしたり白く浮き上がったりします。
乾癬性関節炎
(かんせんせいかんせつえん)
尋常性乾癬の症状に関節炎が伴ったもので、関節症性乾癬とも呼ばれることがあります。手足の関節や足の裏、アキレス腱などにこわばり、腫れ、痛みなどの関節症状が生じます。一般的に皮膚症状が出現してから関節症状が現れますが、同時や逆の場合もあります。関節症状が先に見られた場合は、似た症状の関節リウマチとの鑑別が大切です。
滴状乾癬
(てきじょうかんせん)
水滴状の直径0.5〜2cm程度の小さな発疹が全身に現れます。風邪や扁桃腺炎などの感染症がきっかけになり、小児や若年層に発症しやすい感染です。感染症が治ると症状は治まりますが、再発を繰り返して尋常性乾癬に移行する可能性もあります。
乾癬性紅皮症
(かんせんせいこうひしょう)
尋常性乾癬の症状が全身に広がり、90%以上の皮膚が赤みを持った状態の乾癬です。発熱、悪寒、全身の倦怠感などを伴うことがあります。乾癬の治療が上手くいかない、または適切な治療を行わなかった場合、乾癬の患者様のうち約1%で発症すると言われています。
膿疱性乾癬
(のうほうせいかんせん)
尋常性乾癬の症状に膿疱を伴う感染です。皮膚の表面がジュクジュクして赤みを帯び、膿疱が生じます。症状が身体の一部のみに見られる限局型と、急な発熱とともに全身に現れる汎発性膿疱性乾癬があります。汎発性膿疱性乾癬はめったに発症しませんが、厚生労働省の指定難病とされています。
乾癬とアトピー性皮膚炎、
症状と特徴の違い
乾癬とアトピー性皮膚炎は似た症状を呈しますが、全く別の病気です。違いを知っていれば見分けるのは比較的簡単です。治療が必要な点は共通していますので、どちらの場合も当院にご相談ください。
乾癬
発症する箇所
全身に発症するものの、顔には出にくいとされています。
症状・かゆみ
皮膚の赤みや鱗屑が現れ、かゆみは約半数程度で見られます。
見た目
鱗屑によって、皮膚が銀白色の鱗に覆われているような特徴ある見た目を呈します。
アトピー性皮膚炎
発症する箇所
特に顔に発症しやすく、他にはおでこ、耳や目の周囲、手足の内側、わき、首などに生じます。
症状・かゆみ
強いかゆみを伴い、掻くと皮膚が厚くなります。
見た目
肌荒れが悪化したような様子を呈します。鱗屑は見られません。
乾癬の検査・診断
感染症の症状は特徴的なため、皮疹の形や分布を診た専門医であれば比較的簡単に診断がつけられます。乾癬かわかりにくい症状がある場合は、一部を切除して顕微鏡で直接調べる皮膚生検を行うこともあります。
乾癬の治療法
内服薬(飲み薬)
活性型ビタミンD3製剤を用いますが、重症の場合や症状が広範囲に見られる場合はPDE4阻害剤、免疫抑制剤、レチノイド製剤やの内服が有効です。ステロイドは外用で用いられますが、内服薬としては推奨されていません。
紫外線療法
乾癬の症状には、夏の日差しを浴びることで改善することが多く、紫外線治療が効果的です。
当院では、この紫外線治療に最新機器「エキシプレックス308」を導入しました。この機器は、従来の治療器よりも高い密度の紫外線を照射できるため、短時間で効果を実感できることが期待できます。
乾癬のQ&A
乾癬は人にうつりますか?
乾癬が人にうつることはありません。人から見える場所に症状が見られるので周りの視線が気になる方もいらっしゃるかもしれませんが、決してうつりませんのでご安心ください。
なぜ頭皮に乾癬ができるのでしょうか?
髪の毛が伸びる時に頭皮が刺激される、無意識に頭皮が毛髪で擦られる、就寝中に枕などで擦れる、といった原因によると考えられます。また、髪の毛が生える部分は日光の刺激に対して免疫を調整する効果が弱いため、乾癬ができやすい部位と考えられています。
乾癬に効果的な市販薬はありますか?
保湿剤や効果が弱めのステロイド剤が効くこともありますが、乾癬に対しては効果が不十分な場合が多いでしょう。自己判断で治そうとすると症状の悪化につながる可能性もあるため、皮膚科を受診していただきたいと考えます。
乾癬に効果的な市販薬はありますか?
関節炎を併発する感染性関節炎が知られています。また、関節リウマチやクローン病などの炎症性腸疾患と合併することもあります。
乾癬の発症にダニは関係しますか?
関係ありません。「疥癬」という別の病気はヒゼンダニが原因ですが、乾癬とは別物です。