- アトピー性皮膚炎とは
- アトピー性皮膚炎は大人でも発症することがある!?
- アトピー性皮膚炎の症状
- アトピー性皮膚炎の原因(大人・子ども)
- アトピー性皮膚炎の検査・診断
- アトピー性皮膚炎の治療法
- アトピー性皮膚炎の自宅ケア・できること
- アトピー性皮膚炎のQ&A
アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎とは、かゆみを伴う湿疹が良くなったり、悪くなったりを繰り返す皮膚の病気です。皮膚のバリア機能低下や免疫学的要因が重なったところに、外界からの様々な刺激が加わることで発症します。両親のどちらかが気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患があったり、IgE抗体を作りやすい体質だったりする方に多く見られます。
アトピー性皮膚炎は大人でも
発症することがある!?
アトピー性皮膚炎というと、子供がかかる病気というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、大人になってから発症するケースも少なくありません。特に、ストレスやホルモンバランスの乱れが原因となり、皮膚のバリア機能が低下することで発症すると考えられています。
アトピー性皮膚炎の症状
日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎の診断基準は、以下の通りです。
- かゆみ
- 左右対称性の湿疹(乳児では顔、小児は関節、成人は上半身)
- 慢性的な経過(乳児は2ヶ月以上、小児以降は6ヶ月以上)
これらの特徴を基準として、診断されます。
肌の乾燥
アトピー性皮膚炎では皮脂が不足するため、角質層が十分な水分を保持できず、肌が乾燥しやすくなります。
湿疹
アトピー性皮膚炎が進行すると、湿疹が左右対称に現れます。
痂疲(かさぶた)
アトピー性皮膚炎はかゆみを伴うため、無意識に搔くことで皮膚に傷ができ、かさぶたとなることがあります。
アトピー性皮膚炎の原因
(大人・子ども)
大人の場合
大人になってからアトピー性皮膚炎を発症する場合、ストレス、妊娠出産による環境の変化、生活習慣の乱れ、ホルモンバランスの変化が影響していると考えられています。
これらの要因が皮膚のバリア機能を低下させ、アトピー性皮膚炎の発症や悪化につながることがあります。
子どもの場合
幼少期にアトピー性皮膚炎を発症する場合は、主にアトピー素因が原因と考えられています。両親のどちらかに気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患がある場合、子供がアトピー性皮膚炎になりやすいとされています。
ただし、子供の肌は機能が未熟なこともあり、幼少期に発症したとしても成長とともに徐々に改善していくことも多くあります。
アトピー性皮膚炎の検査・診断
アトピー性皮膚炎は、血液検査で調べることができます。また、特異的IgE抗体検査を行うことで、ダニやカビ、ハウスダスト、ペットの毛など、どのような悪化因子が影響しているのかも評価します。
それ以外にも、アトピー性皮膚炎の症状と似た皮膚疾患との鑑別をするために、一般的な血液検査を行う場合もあります。
アトピー性皮膚炎の治療法
アトピー性皮膚炎の治療の基本は、薬物療法とスキンケアです。
薬物療法
アトピー性皮膚炎の治療の基本であるステロイド外用薬は、薬の強さによって細かく分類されるため、使用する部位や年齢に応じて適切な薬を選択します。ステロイド外用薬以外にも、タクロリムス軟膏、抗ヒスタミン剤や生物学的製剤の内服も必要に応じて使用します。
塗り薬の塗るときのコツ
クリームや軟膏などの塗り薬は、成人の人差し指の先端から第一関節までの長さを1FTU(フィンガーチップユニット)とし、分量を調整します。1FTUで成人の手の平2枚分に相当します。なお、ローションの場合は、1円玉大の大きさを1FTUとします。
医師からの指示を守り、適切な量を使用するようにしましょう。
塗り薬を塗る手順
- 手を洗い、タオルで水気をしっかりとります
- 医師から指示された量の外用薬を手に取ります
- 炎症のある部位のみに塗ります。ゴシゴシ擦ると皮膚を傷つけてバリア機能をさらに低下させてしまうため、優しく塗りましょう
- 塗り終わったら薬剤が手に残らないように、きれいに洗いましょう
※手の平、足の裏は皮膚が厚くなっているため、成分が浸透しやすい入浴後に塗るのがおすすめです
スキンケア(保湿)
アトピー性皮膚炎の方の皮膚は正常に見えても、実はとても乾燥しています。保湿剤を使用してスキンケアをすることで、乾燥と皮膚のバリア機能低下を防ぐことができ、かゆみの軽減にもつながります。朝と夜の1日2回を目安に行うようにしましょう。
アトピー性皮膚炎の
自宅ケア・できること
アトピー性皮膚炎は、ご自宅でのセルフケアが非常に重要となります。薬物療法やスキンケアを毎日継続的に行いましょう。一度よくなったからといってセルフケアを怠ると、悪化を繰り返して治りにくくなる場合があります。ここでは、ご自宅でできるセルフケアの方法をご紹介します。
入浴時は優しく洗いましょう
体を洗う際は、十分に泡立てて手で撫でるように優しく洗いましょう。
タオルや爪でゴシゴシ洗うと皮膚が傷つき、乾燥や湿疹につながる可能性があります。
最後は流し残しがないように、ぬるめのお湯でしっかり洗い流しましょう。
保湿剤や外用薬は適量を
塗りましょう
大人になってからアトピー性皮膚炎を発症する場合、ストレス、妊娠出産による環境の変化、生活習慣の乱れ、ホルモンバランスの変化が影響していると考えられています。
これらの要因が皮膚のバリア機能を低下させ、アトピー性皮膚炎の発症や悪化につながることがあります。
保湿剤→ステロイド外用薬の
順番で塗りましょう
原則は保湿剤を塗ってからステロイド外用薬を上から重ねるように塗りましょう。ステロイド外用薬は、湿疹部だけにしっかり塗るようにしましょう。
アトピー性皮膚炎のQ&A
アトピー性皮膚炎とストレスはどのように関係しているのでしょうか?
心理的ストレスがかゆみを強めたり、皮膚のバリア機能を低下させたりすることで、症状がさらに悪化することがあります。
アトピー性皮膚炎は大人になって体質を改善すれば良くなりますか?
子供の場合は、成長とともに徐々に改善することが多いです。成人するまでは、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すことが多いです。
アトピー性皮膚炎は市販薬で治りますか?
保湿剤やステロイド薬は効果があると考えられますが、改善しない場合は皮膚科を受診しましょう。